小松由和さんのおもてなしバトン

第十二走者

第十三走者 小松由和さん

1984年神奈川県横浜市生まれ。法政大学卒業後、株式会社CSKシステムズに就職、システムエンジニアとして3年間勤務後退社。
飲食業界未経験から、2010年12月、横浜の関内吉田町に飲食店「Cafe&DiningSAKAE」を独立開業。2014年7月、逗子海岸に夏季限定営業の海の家「Seaside Living」を建築家のパートナーと共同オーナーとして開業。地産地消の考えを軸に、「Cafe&DiningSAKAE」では横浜野菜など地元食材を使った料理を提供、「Seaside Living」では湘南鎌倉野菜など地元食材を使った海の家料理を提供している。飲食店営業以外にも、ウェディングパーティーをはじめ各種パーティーへのケータリングも好評で精力的に活動中。現在は2014年冬に静岡県で開催される芸術祭の期間限定カフェの立ち上げに参画中。
Cafe&DiningSAKAE」/「Seaside Living」/「SAKAEケータリング

静岡県掛川市のCOЯEM店長 さのみちよさんとアンジュール店長 松浦さやかさんと、その仲間たち。
店長の2人は法多山尊永寺(袋井市)で開催されるコトコト市の主催をしています。
ミシンでコトコト。お鍋でコトコト。丁寧に作られる手仕事の音をイメージして名付けられた「コトコト市」。
洋服やパンや焼き菓子など、質の良い手作り品の発表の場にとスタートしたのが2007年。
以来、つながりのある個人店や、会場となる法多山の協力のお陰で、地元のイベントとして定着するまでになりました。

コトコト市公式HP
シンプル雑貨アンジュール(松浦さやかさんのお店)
雑貨屋コレム(さのみちよさんのお店)

小松由和さんが選んだのは「生しょうゆ」


増本さんからの
レシピとバトンが届き、
「文右衛門蔵の
いろんな味を
試してみました」
と小松さん

空間からひきおきることの味わい

7.2×1.2mの長いテーブルが一つというシンプルな空間が物申す、Café & Dining SAKAE。
「人と人、人と食、何かと何かが呼応して、さらに何かを生み出すような空間をつくりたかったんです」と話すのはここの店主であり料理プロデューサーの小松由和さんだ。
しょうゆバトンによって、人が繋がり、一つの味が様々な味に広がる文右衛門蔵も然り。
なにかしらの育みの源になることは楽しく、嬉しいものだ。
広島のシェフ、増本さんから小松さんに
繋がったバトンはここでまた何を生み出すのだろう。


近距離でじっと
見られながらの
調理にも慣れ、
今はこの距離感が
心地よいと小松さん

ワンテーブルの絶妙な距離感

店内に入ると目に飛び込んでくるのは大きな1台の長テーブル。細長い室内に間仕切りはなく、キッチンとテーブルが一体となったシンプルな空間に、最初は圧倒されるも、ふっと、家に呼ばれたような心地よさに包まれる。
学生時代、カフェでアルバイトしていた時に、空間から生まれるコミュニケーション風景に興味を持ったという小松さん。
食事、出会い、空気感…そこでしか体験できない感覚や、そこだからこそ体験できることを提供したいと志を決めた。
「おいしいと感じられる料理を出すのは前提ですが、料理表現がメインではなく、居合わせた人たちにより日々七変化する空気感…空間からひきおこることが僕にとっては最大の関心なんですね」。
ワンテーブル上に、独り時間や数人での語らいなどそれぞれの場が存在し、時には隣り合わせた客たちの交錯が繰り広げられる。

俯瞰の目

2年前に「30人のピクニック」というテーマでデリバリーを依頼されたのをきっかけにクチコミで広がり、小松さんが手掛けるケータリングもまた人気を呼んでいる。
コストとおいしさのバランスはもちろん、やはり大事にしているのは参加者のテンションをあげる空気づくり。
直接料理を並べて、テーブルごとお皿にしてしまったことも。小松さんならではのオリジナリティをちりばめる。
「人数もターゲットもさまざま。お客様の立場になって体験したら何が楽しいと思えるかを考えますね」。
数々のパーティシーンを創り出せるのは、自己満足にならない小松さんの俯瞰の目がしっかりあるから。
使う器も花も、自分で選び全体をコーディネートする。
場を通して多種多様な広がりをもたらすことにやりがいを感じる小松さんにとって、ケータリングは未知数の可能性を秘める実験現場のようだ。


アットホームな
和やかさが
生まれる空間も
人気の理由
(小松さん提供写真)


カジュアル、
企業向け、
ウェディングなど
様々なケータリングに対応
(小松さん提供写真)


卓上の随所にある
くぼみに飾られたグリーンが、
座ると野菜畑の中に
いるような感覚に。(編集部撮影)

地元野菜は育みの要

ワンテーブルの随所にはくぼみがあり、そこから植物がにょきにょきと生えているようにみえる。座る目線はまさに草むらや畑にいるようで新鮮な感覚、地元野菜をメインとするSAKAEらしさが伝わってくるようだ。
生まれも育ちも横浜ということもあり、小松さんが店を始めるときにこだわったのは横浜を始め地元野菜を使うこと。ホールや調理を学ばせてもらった横浜市港北区にあるレストランのシェフが快く地元農家を紹介してくれた。
「横浜市で作る小松菜の生産量は国内上位を競うほどで、サラダのように生で食べてもえぐみを感じることがないんですよ」。
今回のレシピにも、葉物の爽やかさと食感のアクセントとして用いられている。
地元の野菜がこんなにおいしいと感じてもらうことは、お客様にとって一つの発見であり愛着にも繋がる。
知り合いの農家さんが、「こんなの作ってみたけど使えるかな?」と持ってきたり、互いに刺激しあう関係も育まれている。

活かす・任すの塩梅

SAKAEをスタートしたころ、料理のワークショップにゲストで呼ばれたとき、来場者に「同じ味を維持するにはどうするのか?」と尋ねられた。その言葉がずっとひっかかっていた。
調理師出身でないせいもあるのか、同じ味を作るのが料理という考えに縛られていた小松さん。
あれから4年経ち、「例えば同じ人参でも個々の味があり微妙に違う。つまり人参を使った同じレシピを作っても同じ味にはならないと思った時、そのこだわりから解放されました。その日の食材がもつ味わいで、その日の味を創るんだと、自分の料理が明確になりましたね」。
「同じ味」ではなく、自分が納得する、日々のおいしいを提供する。
そんな小松さんが、次回のバトンランナーに贈るのは、シンプルな具材のハワイ飯「アヒポキライス」を文右衛門蔵流で。(ハワイ語で「アヒ」はマグロ、「ポキ」は小さく切ることを意味する)
いたってシンプルなメニューだからこそ、食材の味がわかりやすい上に、調味料によってどこの味覚文化にも自由自在に変化する。香り立つ生しょうゆで和テイストのハワイ飯が誕生!

「空間や素材を自分流に活かし、そして空間や素材に流れを任せる」
その塩梅を心得ている小松さん。
彼の店が、レストランガイドにとどまらず、建築、インテリアや植物、ファッション雑誌など幅広い視点で取材される理由もレシピに垣間見た。


地元横浜の農家さんの
野菜を楽しむ。
特に小松菜は横浜が
全国生産率上位


ハワイ飯に絡ませるタレを
生しょうゆベースで

「三浦のマグロと横浜野菜のアヒポキライス」(1人分)

☆材料
*たれ
生しょうゆ 大さじ3
ごま油 大さじ1
おろししょうが 小さじ1/2(4g)
(★1人分はこのたれのうち大さじ2程度を使う)

アボガド 1/2個
きゅうり 1/3本
まぐろ 100g
(上記の3点は一口サイズに切る)
サニーレタス 適量
小松菜 適量
卵黄 1個
生しょうゆ 小さじ1/2

ご飯 適量

☆作り方
1)たれを混ぜておく
2)マグロ、きゅうり、アボガドは2cm角の角切りにし、1のたれ大さじ2を和える
3)器にご飯を盛り、ちぎったサニーレタスをのせて、2の具材を中央に盛る
4)細かく刻んだ小松菜を全体に散らして、中央に卵黄を添えて、卵黄の上に生しょうゆを少したらして完成


☆「アヒポキ」
ハワイ語で「アヒ」はまぐろのこと。「ポキ」とは小さく切るの意味。


シンプルな素材に醤油ベースのたれがいいアクセント

「文右衛門蔵 生しょうゆ」はいかがでしたか?

印象的なのは香り。そして、香りがたつけれど、主張しすぎず、素材の味を邪魔しない程よさを感じましたね。アヒポキライスは素材がシンプルなので醤油ベースが合うんです。

おもてなしバトンを松浦さやかさんへ

文右衛門蔵は、濃いめの再仕込しょうゆ、特徴的な和のソースなどいろいろあり、どれにするか迷うくらい。レシピの閃きをくれると思いますよ。

取材・文/山本詩野 写真/松本祥孝

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